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​■死人に口なし

そしてALMA号は、カリストへの航行を再開した。

だが彼らはカリストに到達することはなかった。

船員たちが安堵しながらコールドスリープについた後、ブリッジで独りため息をつく男がいた。

「この状況でカリストへ向かうと判断するとは……、愚かだ」

男――ノーランは、コールドスリープ装置の酸素供給システムを停止させた。

これでいい。これで地球へ帰ることへ反対する者はいない。

​何故ならALMA号の船員は、あと数分でノーラン1人になるからだ。

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